Q&A
よくいただく質問をまとめてみましたので、ご参照ください。
脱酸性化処理はどのような効果があるのか?
A.ワシントンの米国議会図書館(Library of Congress)、アトランタのInstitute of Paper Science and Technology (IPST)、ローチェスターのImage Permanence Institute、ベルギーのThe Institut Royal du Patrimoine Artistique、オランダのTNO Center for Paper and Board Research、スイスのBerner Fachhochschule、そしてAmerican Philatelic Societyは処理済の紙資料の検証実験および未処理のサンプルとの比較実験をそれぞれ独自に実施してきました。これらの強制劣化実験ではブックキーパー脱酸性化処理によって紙資料の使用寿命が少なくとも3~5倍延びる効果があることが証明されています。強制劣化は自然劣化の結果を必ずしも正確に再現していませんが、テストの性質上、紙資料の延命効果は、強制劣化試験の予想以上と思われます。
どのような材質が処理できるのか?
A.ブックキーパー脱酸性化処理は製本および非製本の文書、印刷物および手書きの書類、新聞、書籍、書簡、封筒、切手、紙製品、パンフレット、そして地図や版画など、あらゆる形態の紙資料に適しています。処理の工程では溶剤を一切使用しないため、接着剤、装丁、革、プラスチック、金属、繊維など傷めることがなく、インクを散らしたり、にじませたり、溶かしたりすることもありません。
ブックキーパー脱酸性化処理の工程が、資料に大きな負担をかけることはありませんが、処理する紙資料は安定した状態で、注意深い取り扱いに耐えられる程度でなければなりません。補修が不十分であったり、脆弱すぎて取り扱うことが出来なかったりする資料は、同処理に適しているといえません。
写真なども処理できるの?
A.Image Permanence Instituteはブックキーパーで処理された紙に接触した写真材料を試験し、写真活性度試験(PAT, Photographic Activity Test)の要件を安全に満たすことを確認しました。しかしながらブックキーパーは写真の保存を意図したものではなく、写真に対する効果はありません。また、ブックキーパーによって写真が悪影響を受けることも無く、写真は処理された紙資料と共に安全に保管することができます。
彩色やインクに対しては安全ですか?
A.ブックキーパー脱酸性化処理プロセスには、溶剤も水も含まれていません。1870年以前の何百ものインクおよび紙のサンプルに対する独立試験の結果、ブックキーパーによって溶解した、あるいは滲んだインクまたは彩色は検出されませんでした。
稀に、酸からアルカリへのpH変化によって彩色の濃淡が影響される場合があります。しかしpHの変化に敏感な彩色であっても、紙が水や高湿な環境で濡れるような状態にならなければ、ほとんど影響を受けることはありません。なお、「青写真(blueprints)」や、pHの上昇によって影響を受けるような他の同様の材料に対してはブックキーパー脱酸性化処理を使用しないでください。
紙の褐色化を抑止できますか?
A.いいえ、新聞紙のような紙には光や酸素の影響を受ける化学的不純物が含まれています。これらは時間の経過とともに褐色に変わる傾向があります。なお、処理によって褐色化(黄変)が加速されることはありません。
ph上昇によるアルカリ加水分解の可能性はありますか?
A.ありません。酸化マグネシウムを使用した際の達成可能な最大pHは10.4で、紙を脆化させるために必要とされる値より十分に低い値です。アルカリ加水分解は、過剰の水(液体)の存在する条件下の場合に、はるかに高いpH値において、そして室温よりはるかに高い温度において生じます。
危険ですか?
A.ブックキーパー脱酸性化処理工程は、無害、無毒、非可燃性です。脱酸性化剤は無臭で乾燥しており、通常の換気が行われている空間で使用することができ、特別な排気要件はありません。
他にもご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。